雑誌編集者からwebライターになってみてわかったこと

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はじめまして、駆け出しwebライターのponnuです。このたび「ライターになって変わったこと」について記事を書くように命じられたため、自らのこれまでの歩みを振り返りつつ、ライターになってから得たさまざまな学びについてまとめてみました。

 

雑誌編集者からwebライターへ

webライターになる前、私はとある出版社でおよそ3年間雑誌の編集を担当していました。雑誌編集者というと「なんかカッコいい」というイメージを抱いている方もいるかもしれませんが、実際は非常に泥臭い仕事です。入稿前は連日終電まで残業するのが当たり前、早朝から、または深夜まで及ぶ撮影があったり、いろんな調整を経てなんとか実現できることになった撮影をモデルに当日ドタキャンされたり、上司の思いつきで寒空の中ひたすら街頭インタビューしたり……。ある程度は覚悟して就職しましたが、思い出すと今でも胃がキリキリするような過酷さでした。

「文章を読んだり書いたりするのが好き」「撮影楽しそう」という程度のふわっとした気持ちで入社した私は、その過酷さにじわじわと心身を削られていきます。そしてある時ついにストレスから体調を崩し、会社を辞めざるを得なくなりました。

晴れてニートになり、ぼーっと心身を休める中で「私は何がしたかったんだっけ……?」と自分自身に改めて問いかけると、やはり「文章を書くのが好き」という気持ちが浮かんできます。ただし、前職のような編集者として働くとなると、外部との折衝や日程調整などの煩雑で神経がすり減る仕事は避けられないうえ、多くの会社の場合自分で文章を一から書くことすらできません。私がやりたいのは、「その他のことに煩わされずに文章をひたすら書く」こと。そうなるとライターという仕事が自分のやりたいことに最も近いように感じられ、webライターに転身することを決めました。

 

webライターとして働く中で見えてきたこと

そんなこんなで、2017年1月にwebライターデビュー。某企業に身を置き、恋愛やライフスタイルといったライトなテーマの読み物から、建築やビジネスといったやや堅めの記事までさまざまな案件の文章執筆を担当することになりました。これがまあ楽しすぎる。ザ・シングルタスクマンの私にとって、電話も取らず外部との打ち合わせにも行かず、一日中PCに向かってひたすら大好きな文章を書き続ける仕事は天職と言っても過言ではありません。疲れると集中が切れてしまうこともあるものの、基本的には毎日非常に楽しい勤務時間を過ごしています。

webライターとしてそんな毎日を送る中で、雑誌編集者だった頃には知り得なかったさまざまなことが見えてきました。それらがこちら。

 

反応がダイレクトに感じられるのはwebの長所

雑誌の場合、読者からの反応の良し悪しを判断する材料は主に部数です。しかし、時代の移り変わりとともに現在は出版業界全体がどんどん不況に陥っています。そうなると、前号より部数が落ちたとしても、それが必ずしも「前号よりも読者の反応がよくなかった」ということを示すものとは言い切れません。つまり、あからさまに部数が激減した場合を除くと、その号が読者から好評であったのか不評であったのかが見えづらくなっているという現状があるのです。

また、一つの雑誌の中でどの企画が人気でどの企画が不人気であったかということも、せいぜい読者アンケートのような回答者の母数が少ないものによってしか判断できません。そのため、自分の担当した企画が読者によって「いいもの」であったかどうかということは、実のところそれほどよくわからないというのが本音です。

一方、webの場合はその記事がどれくらい閲覧されているのかを簡単に把握することができます。また、コメントやお気に入り登録、SNSへの拡散などにより、読者の反応をダイレクトに知ることも可能。自分の記事がどのくらいの人に届いたのか、読者にどう捉えられているのかをリアルに感じることができるというのは、webライティングならではの醍醐味ではないでしょうか。

 

情報の信頼性が要

雑誌編集者であった頃はある分野の専門書的な雑誌を担当していたこともあって、どんな記事でも必ず専門家への取材を行っていました。また、記事執筆後は専門家に原稿を渡して一度確認を取るのが常識。そのため、情報の信頼性は確かなものだったと思います。

しかし、現在はネット検索で収集した情報を元に記事を書くこともしばしば。記事によっては自社のディレクターやクライアントのチェックが入るものもありますが、必ずしもその分野の専門家に確認をとってから掲載するような案件ばかりではありません。

そうなると、非常に重要になるのが参考にする情報の信頼性です。いくら一見有益そうな情報を発信していたとしても、その情報が不正確なものであったら意味はありません。webライティングをする際は、例えば省庁の発表しているデータや企業の公式HPに掲載されている情報など、できるだけ信頼性の高い情報を元に記事を執筆しようと意識するようになりました。

 

テンションの使い分けが難しい

正確には雑誌編集者とwebライターとの違いというわけではありませんが、これまでは同じ会社が発行する似た内容の雑誌の記事しか書いたことがなかったため、転職してさまざまなジャンルの記事を書くようになってからは記事ごとに求められる「テンション」の違いに少々悩まされました。例えば恋愛記事を書くときのテンションで建築系の記事を書いたらどうなるでしょうか。「マイホームを建てるならやっぱりRC住宅がオススメ♡みんなもぜひRC住宅で快適な住環境を手に入れちゃおう♪」――こんな風に軽いノリで語りかけられても、真剣にマイホーム購入を検討している人にとっては癇に障る記事以外の何物でもないでしょう。

何か一つのジャンルに特化したライターを目指すなら別ですが、マルチなライターになりたいならやはり記事の内容やメディアの性質に合わせたテンションの使い分けは欠かせません。裏を返せば、さまざまなテンションの文章を書くことができるようになればそれだけ仕事の幅が拡がるということ。これに関してはまだまだ苦戦しているところなので、これからいっそう経験を積んで変幻自在にテンションを使い分けられるライターを目指したいと思います。

 

webライターの仕事は楽しい!

時にはwebライティングならではの難しさに悩まされることもありますが、総合的に見てやはりwebライターの仕事はとても楽しいものです。いつかは人の心をグッと掴むような文章をお届けできるようなライターになるべく、これからもさまざまな記事に挑戦しながら技術やセンスを磨き続けていきたいと思います。

 

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ponnu
幼少期から「他人の役に立ちたい」「自分がしんどいのはイヤ」という2つの気持ちのせめぎ合いの中で育つ。人の役に立てるようになるべく臨床心理士、弁護士、行政書士、公務員などを目指しかけるが、根っからしんどいことが嫌いなため毎回すぐに挫折。大学卒業後「文章書くの楽しそう」という漠然とした気持ちから雑誌編集者になり、現実に打ちのめされる。その後、紆余曲折を経てwebライターへと転身。自分が楽しみながら書いた文章でなにか少しでも人の心に影響を与えることができれば、という思いを胸に日々奮闘中。

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